wacci 左から小野裕基 (Ba)/因幡始 (Key)/橋口洋平 (Vo.Gt)/村中慧慈 (Gt)/横山祐介 (Dr)
ヒット曲「大丈夫」や「別の人の彼女になったよ」など、聞く人すべての「暮らし」の中にそっと入り込んでいけるような歌を届けてくれる5人組バンド、wacci(ワッチ)。2021年11月12日に有観客での日本武道館単独公演を終えたばかりのメンバーに、Westone Audioが夏に発売を開始したPRO X シリーズの「Pro X10」「Pro X20」「Pro X30」「Pro X50」をそれぞれ試聴してもらい、サウンドの違いや好みのモデルなどについてお話をききました。
メンバーそれぞれの思いを反映しながら変化していった12年
■ wacciは結成2009年ということですが、どんなきっかけでバンドができたのですか。
橋口 (Vo.Gt):もともと同じライブハウスに出ていた別のバンドの仲間で、最初は僕のサポートとして始まりました。メンバーはそれぞれSEだったりラーメン屋店長だったり、いろんな経歴がありつつ音楽を続けていたんですけど、音楽で食べていくラストチャンスとして、このバンドでやっていこうという思いで始まりました。今年で結成して12年ですが、ここまで続けてこられて嬉しいです。 |
■ 結成12年を経て、みなさんはどんな気持ちで演奏しているのでしょうか。
横山 (Dr):wacciは橋口の歌と言葉が中心なので、どうしたらそれがより生きるかを考えながら、いつもドラムを叩いています。その基本は結成当初から変わってないですね。
村中 (Gt):横山が言う通り、橋口の歌を最大限表現することが基本ですが、自分も音楽が好きなので、自分がずっとwacciの音楽のファンでいられるような楽曲性、自分自身が楽しみ続けられるバンドでありたいなと思っています。 |
左から村中慧慈 (Gt) /横山祐介 (Dr) /橋口洋平 (Vo.Gt)
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左から小野裕基 (Ba)/因幡始 (Key) |
因幡 (Key):二人と同じく歌を大切に届けるバンドであることは基本ですけど、そこに自分の範疇でできるオリジナリティをどうやって出していったらいいかな、ということをいつも模索していますね。
小野 (Ba):僕は、なるべく他のパートが活きて聴こえることを考えて演奏しています。最近ですけど。以前はやっていなかったのか、ってことは問題なんですけどね(笑)。正直、以前はもうちょっと主張しようとしていました。 |
橋口:なんか、すごいね。変わったよね(笑)。こうやってあらためて聞いてみると、バンドを12年やってきたなって感じがすごくします。みんないろいろ思いながら、変化しながらきたんだなって。これからも聴き手が主人公になれるような歌を作っていけたら、と思います。 |
今回はwacciのメンバー全員に、Westone AudioのPRO X シリーズの4モデル「Pro X10」「Pro X20」「Pro X30」「Pro X50」を聴いていただきました。その感想を順にお聞かせください。
「Pro X30を聴いた時、これだ!と思いました」小野裕基(Ba)
小野:僕は以前からWestoneに憧れていたので、今回じっくり試聴できる機会をいただいてラッキーでした。4モデルともそれぞれ良さはありましたが、10から順番に聴いていって、30が来た時に、「これだ!」と思いました。10も20も、クリアさや定位感、音質の繊細な部分が見える感じはあったんですが、30で今までずっと欲しかったものが見えて、自分がアレンジした曲や自分が弾いた音色が、理想通りの音に聴こえました。 |
ちなみに10がいちばん中域の情報量が出ていると感じて、メロディー楽器を中心に聴くなら10がとらえやすいかな。20はちょっと上と下が出てきます。50は各帯域の膨らみというか、余韻を感じました。
「リスニングならPro X10かPro X20、レコーディングならPro X30」
因幡始(Key)
因幡:僕はブランドにこだわらず試聴で気に入ったら買うみたいな感じなので、Westoneを知らなかったんです、すいません(笑)。逆にブランドの偏見はないと思います。全部のモデルについて言えるのは、中域に特徴があることです。僕の表現で言うと中域が「面」で来る印象ですね。でもぼやけているのかと言うと、そうではなくて楽器がちゃんと粒で見えるので、これがWestoneの音なんだなと思いました。 |
10はそれが一番顕著に出ていて、20はそこに華やかさが加わって、30で全体的にガッツが出て一番バランスが良かった。で、50は30に対して、ハイエンドがめちゃめちゃ伸びています。wacciの曲でビッグバンドっぽい曲があるんですけど、そのライドのチップの音が、めちゃめちゃ聴こえました。僕の好みは日常のリスニングは10とか20ですね。レコーディングでも試したんですけど、レコーディングでは圧倒的に30がやりやすかったです。
「Pro X50を聴いた時、ぜったいコイツだなと思いました」村中慧慈(Gt)
村中:僕は50がずば抜けて気持ちよかったです。家でミックスやアレンジに使ってみたんですが、50を使った時、絶対こいつだなと思いましたね。これでバンドの音を聴くと、ドラムのキックのアタックだけじゃない響きがよく聴こえました。あれはちょっと衝撃でしたね。こんな聴こえ方するんだと思って。今後はミックスの確認で絶対使いたいなと思いました。 |
決め手はやっぱりロー感ですね。ヒップホップとかR&Bとかアフリカン・アメリカンミュージックみたいなの、ローがドスンと来るやつが好きなんですけど、自分の好みとしてはそれを50で聴くのが一番気持ちよかったです。
「躍動感やワクワク感があって、Pro X50が一番好きです」横山祐介(Dr)
横山:僕はドラマーなのでどうしてもドラムを聴いちゃうんですけど、キックのロー感がよく録れた曲のマスタリング音源で10から順番に比べて試聴していくと、30のところで明らかにキックの余韻の部分が変わりました。50ではさらに深みが出ます。で、僕の結論としては、50が一番好きです。 |
あと、こういうハイエンドなイヤホンって、高音質な音源じゃないと差が出ないのかなと思って、逆に普通のサブスクを聴いてみたんですが、サブスクでも十分に音の変化は実感できましたね。やっぱりグレードが上がると音が良く見えてくる。30になるとかなりクッキリとしてきて、50でさらにそこに躍動感というかワクワクした感じが加わってきました。
「ボーカリスト目線ではPro X10、Pro X20 が使いやすい」橋口洋平(Vo.Gt)
橋口:僕はみんなと違って、ボーカリスト目線で聴いてみたんですけど、10と20がとても聴きやすかったです。僕の場合、自分の声の200Hzあたりのやや低い音の成分が良さだと思っているんですけど、30、50だとそこにピアノやフロアタムの中域の成分が出てくるので、その音域の声がカバーされてしまって歌が細く感じました。もしバンドサウンドの中でボーカルをちゃんと聴きたいなら、10か20がいいと思います。逆に弾き語りだったら50がいいかなとも思いました。 |
ちなみにこういうイヤホンのシリーズものって、グレードが上がるごとに高域が伸びていくイメージを僕は持っていたんですけど、 Pro Xシリーズは最初から高域は変わらずにあって、30や50になった時には低域が充実してゴージャスな音になっていく感じがしました。そこが面白いと思いました。
Westone Audio PRO X シリーズ |
バンドサウンドやアレンジにこだわりつつ、常に新しいことに挑戦していきたい
■ みなさん、素晴らしいレビューありがとうございました! 最後に今後のwacciについてお聞かせください。
橋口:wacciは結成13年目を迎えたわけですが、これからも歌や歌詞はもちろん大切にしていきます。同時に今は結成当初よりもバンドとしてのサウンドによりこだわっていて、バンドとしてやっている意味をぜひ感じてほしいと思っています。そこを楽しんでもらえる曲ができつつあるので、楽しみにしていてください。
横山:音楽としてはわりとど真ん中のポップスをやっているつもりなんですが、今、バンドを12年続けているって結構絶滅危惧種的だなって感じるので、それを絶やさないというか(笑)。それが逆に個性になってきた感じもあるので、そういうあたりを大切にして5人でやっていきたいと思っています。
村中:僕は逆で、ライブは絶対バンド5人ですけど、楽曲はもっと自由でいいのかなと思っていて、全編打ち込みの曲があっても面白いんじゃないかと思うんです。それをライブでは生で落としたらすごくカッコよくなったりするだろうし。そんなことに挑戦していきたいです。
因幡:僕は横山と村中のちょうど間ぐらいなんですが、バンドだから制約があっていいと思っていて、その制約の中で、いかに新しいことにチャレンジできるか、バンドという縛りの中で何かを見つけることが大切かなと思っています。
小野:バンドも12年を超えて、自分の年齢的にも40手前になってきて、だんだん初めてのことが減ってきているんですよね。そんな状況ですが、いろんな意味で「いつものあのやり方でいいじゃん」ということをしないように、1つ1つていねいに、その時のベストを目指していくっていう姿勢でありたいと思っています。
■ 今日はWestone AudioのPRO Xシリーズの詳細なレビュー、ありがとうございました。今後のwacciの活躍に期待しています。
wacci
Profile
小野裕基(Ba)/因幡始(Key)/橋口洋平(Vo.Gt)/村中慧慈(Gt)/横山祐介(Dr)「泣きっ面にワッチ」。聞く人全ての「暮らし」の中にそっと入り込んでいけるようなPopsを作るべく結成したバンド、wacci。泣いたあとにちょっと笑えるような、笑ったあとはもっと笑えるような歌を届けます。
wacci 公式ウェブサイト